最低賃金1,500円時代に備えて、デイサービス管理者がAIで間接業務を削った話

「また人件費が上がる」「利益が出ない」「なんとかしなければ」。そう思っている管理者は多いと思います。

政府は2027年度に最低賃金を全国平均で1,500円にする方針を示しています。2026年10月にも大幅な引き上げが見込まれており、デイサービスを含む介護事業所は、じわじわと経営を圧迫される状況が続いています。

介護事業所の人件費率は売上の65〜75%といわれています。この数字を下げることは、現場の体制を崩すことになるので簡単にはできません。

では何ができるか。私が取り組んだのは、「利用者に関係しない間接業務」をAIに任せることでした。

この記事では、デイサービスの管理者として私が実際に行った、AIによる間接業務の時短事例を4つまとめてお伝えします。現場への影響は一切なし。書類仕事の負担だけを削りました。

人件費を削らずに「管理コスト」を削る発想

最低賃金が上がると、多くの管理者が「シフトを減らすしかない」「残業を制限するしかない」という方向に考えが向きがちです。でも、それは利用者へのサービスに直結します。

私が注目したのは、別の部分でした。「管理者の私自身が費やしている間接業務の時間」です。

日報のメール、稟議書、会議資料、勤務形態一覧表……これらはすべて、利用者には直接関係しない事務作業です。しかし毎日・毎週・毎月、確実に時間を奪っていきます。

この「管理者の間接業務時間」こそ、AIで削れるコストだと気づきました。

実際に削った4つの業務とその結果

① 毎日の日報メール送信 30分 → 約1分

デイサービスでは、その日の利用者数や特記事項を上長や本部に報告するメールを毎日送ることが多いです。私の施設でも同じでした。

介護請求ソフトから数字を拾い、文章にまとめ、メールを作成して送信する。慣れていても30分近くかかっていました。

今はClaudeにその日の数字を渡すだけで、報告メールの本文が1分以内に完成します。あとはコピーして送信するだけです。

1日約29分の削減。1ヶ月で約10時間。年間で換算すると相当な時間です。

② 稟議書の作成 60分 → 約10分

備品購入や新しいサービスの導入を申請するために稟議書を書くことがあります。書式を探し、費用対効果を考えながら文章を作るのに、慣れていない案件だと1時間かかることもありました。

Claudeに商品情報と購入の目的を伝えると、稟議書の形式で文章を作ってくれます。費用対効果の表現や、承認者が気にするポイントも自然に盛り込んでくれます。

私の場合、作成時間が60分から約10分になりました。内容の質も上がったと感じています。

③ 月次の会議資料作成 120分 → 約30分

月に1度、施設の運営状況をまとめた会議資料を作る必要があります。利用率・稼働率・特記事項・来月の方針……これをWordやExcelで整えるのに、毎月2時間ほどかけていました。

今は数字と箇条書きメモをClaudeに渡して、「会議資料の形式にまとめて」と指示します。たたき台が30分以内に完成します。あとは内容を確認して微調整するだけです。

月90分の削減。年間で1,000分以上の差になります。

④ 勤務形態一覧表への数字入力 40分 → 約5分

デイサービスでは、利用者数に対して配置すべき介護職員数が法令で決まっています。これを証明するために、勤務形態一覧表に日ごとの人数を入力する作業が毎月発生します。

この作業もAIを使って自動化しました。介護請求ソフトから取得した利用者数データをもとに、入力すべき数字を自動で算出・入力する仕組みを構築しています。

月40分かかっていた作業が5分以内に終わるようになりました。

4つの業務削減で、月に何時間が返ってきたか

まとめると、こうなります。

業務 Before After 月間削減時間
日報メール 30分/日 1分/日 約580分(≒10時間)
稟議書 60分/件 10分/件 50分/件
会議資料 120分/月 30分/月 90分/月
勤務形態一覧表 40分/月 5分/月 35分/月

日報だけで月10時間の削減です。管理者の時間が10時間返ってくれば、利用者対応・スタッフ育成・営業活動に充てられます。

コストは増やさずに、管理者が動ける時間を増やす。これが最低賃金引き上げの圧力に対して、私が取った現実的な対策でした。

使ったのはClaude.ai。特別な設定は不要でした

難しいツールや専門知識は必要ありません。私が使ったのはClaude.ai(月3,000円のProプラン)だけです。プログラミングの知識もありません。

チャットで「こういう状況で、こういう書類が必要です。作ってください」と話しかけるだけで動きます。最初はぎこちなくても、数回使えばコツがつかめます。

投資対効果で考えると、月3,000円のAI費用に対して、管理者の間接業務が月10時間以上削減されます。管理者の時間単価を仮に2,500円/時とすれば、月25,000円分以上の効果です。

まとめ:人件費を「守る」ために、管理コストを削る

最低賃金の引き上げに対して「職員のシフトを削る」方向で考えると、利用者へのサービスと、スタッフの離職リスクという二重のダメージがあります。

一方、「管理者の間接業務をAIで削る」方向なら、現場に影響を与えずにコスト構造を改善できます。

3つのポイントを振り返ります。

  • 介護事業所の人件費率は65〜75%で、簡単には下げられない
  • 管理者の間接業務(日報・稟議書・会議資料・勤務形態)はAIで大幅に短縮できる
  • 月3,000円の投資で、月10時間以上の管理時間を取り戻せた

最低賃金1,500円時代に向けて、今できることから少しずつ始めてみてください。

各業務の具体的なやり方・プロンプトは、それぞれの記事で詳しく解説しています。あわせて読んでみてください。

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